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2019年02月06日

全日本スプリント問題について

JOAからリリースされている「2018 年全日本スプリントの運営状況の問題とその背景について」に関して個人的な意見を述べます。

 フライングの件に関しては実際にその場にいたわけではないのでSNS等での発言は避けて来ました。一方で、競技規則の問題点を検討したり、他の競技のルールを参照したり、香港のEAクリニックに参加して、IOFの講師の方に意見をうかがったりして、イベントアドバイザーのメーリングリストでは意見を述べさせていただきましたが、ほとんど顧みられなかったようでとても残念に思っています。組織見解も出ましたのでもう外に向けての意見を言っていいだろうと思います。

 まず、フライングの件に関して述べます。
 この件の運営者の判断は、日本の競技規則にのっとって判断すれば妥当でないとは言えないと思います。一方で競技規則は選手を罰するためにあるのではなく、競技を律して公正さを維持するためにあるのであります。 その観点からすると、この規則違反によって当競技者は特段の利益を受けているわけではなく、他の競技者へ影響をおよぼしているわけではないので、失格は厳しすぎるといえます。
 とはいえ、国際規則でも、日本の規則でも、裁定委員の決定は最終であるという規定がありますので、この件に関してはこれで終了とする以外はないと考えます。
 ただ、そのうえで次の対応を考える必要があります。
 日本の競技規則は、国際規則とくらべると、競技者により厳しいものとなっています。
今回の失格の根拠となりうるのは以下の2項です。
競技規則18.1 競技者は、スタートラインより指定された時刻にスタートする。
競技規則26.1 競技規則に違反した競技者は失格となる。
実はこの2項ともにIOF規則には存在しません。26.1にあたるものはあるのですが、その内容は即失格でなくて、失格となる可能性があるというにとどまっています。
 これについては、競技の公正さや、他の競技者に与える影響、今後の協議の継続(環境面を含めて)などを考えて判断されるべきものだと推察されます。この自由度があるので、セカンドオピニオンとして裁定委員会が機能する余地があるのです。国際大会でも場合によってそんなのOKなの?と思われる裁定が出たりもします。(もちろん当該選手を含む選手側に立ってという裁定になっています。)
裁定委員会の議論も規則に基づいて行われるものですから、この項は競技規則に競技者の失格判定に対する裁定委員会の議論を縛り、無力化しているといえるかもしれません。
 他の競技の規則を見ても、具体的な行為について即失格と述べているものはあっても、競技規則に違反したら即失格なんて規則は見つけられませんでした。

 今回私が提案させていただいたのは
1. 今回の判断に関しては現競技規則にのっとって判断されたものであり、競技はこのまま成立とする。
2. 国内競技規則と国際競技規則に乖離があり、今回の問題につながったと思われるため該当部分を速やかに変更する。
ということでした。
高校野球の選手のイベント出演による処分にしても、一般感覚からすればおかしいですが、高野連のルールから行けば正しくなってしまいます。おかしなルールは速やかに修正するべきです。

 次に、この文書に述べられている方策について述べます。
 印象としてはこれまで言われていたことを並べただけという感じがします。ですからその実施に関して疑問が残ります。具体的誰が何をいつまでにするかということは決まっているのでしょうか?
 そもそも問題は、主催者が規定されたスケジュール通りに進行させないため、チェック機能としてのイベントアドバイザーが働けないことにあります。解決方法としては規定通りに必要な準備をしてもらう以外にありません。良い大会にしたいという思いは同じでしょうから、そこを丁寧に主催者に説明してやってもらう以外にはないでしょう。必要なのは議論でなくて説明や具体的なアクションではないでしょうか?
 齟齬はあっても実は規則はよくできていて、例えば、運営者にディレクタ資格を持っている人が必要であるという規定があるのも、そこをちゃんとやることの重要性を教育されているからであり、イベントアドバイザーと同じレベルで議論できるからです。
 問題は、いつのまにかディレクタがいなくても運営できるようにしてしまったり、そもそもディレクタ教育も十分してこなかったりしたことにあります。(まあディレクタでなくても運営側にもイベントアドバイザー資格を持つ人がいればいいと思いますが)
 組織としてやるべきことは、規定にのっとって運営を進めることの重要さを説明し、信頼できる運営者やイベントアドバイザーを育てることです。
具体的には、以下を提案します。(ディレクタがなくなるようなので)
1. 公認大会の運営者にはイベントアドバイザー資格を持つ人を必須とする。
2. イベントアドバイザー資格講習を1時的に増やす。
3. 講習内容を大きなイベントを問題なく運営できることに集約する。
4. 3年以内に公認大会を運営した場合には、講習参加者の参加費を返却するなどの特典を与える。
議論はいままでもさんざんしてきたと思います。必要なのは具体的なアクションだと思いますがいかがでしょうか。
posted by べん at 13:39| Comment(0) | オピニオン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月25日

調査依頼、提訴、裁定委員について

まずは日本の競技規則から見ていきます。
競技規則24に調査依頼及び提訴についての記載があります。
調査依頼:
いつ:競技者に関する疑義が生じたとき
誰が:競技者及びチーム役員
誰に:競技責任者
どうやって:文書
回答:
いつ:可能な限り速やかに
誰が:競技責任者
誰に:調査依頼者
提訴:
いつ:調査依頼の回答が不服な場合、回答から15分以内に
誰が:競技者及びチーム役員(該当者でなくてもOK)
どこに:大会主催者
方法:文書
24.6後日成績に関することは10日以内に(この規則は日本独自。)

25には裁定委員会について述べています。
25.1 3名からなる裁定委員会を組織。提訴に裁定を下す。
25.2委員会の立場:大会組織外、委員会の議長はイベントアドバイザー、主催者の代表も参加可。裁定委員以外は投票権を持たない。
25.2 3人そろわなかった場合の規定。主催者が代理を指名する。
25.4裁定委員会の決定は最終

ガイドラインにある追加事項
25.1結果は公式掲示板に掲示しても良い。競技責任者は調査依頼の時間に制限を設けられる。
26 裁定委員会は主催者が指名、競技規則に熟知し、運営経験を有するものが望ましい。最低1名はイベントアドバイザ―が望ましい。経験、年齢、地域などのバランスを考慮して選出、事前に発表。利害関係者の場合は主催者が代理を指名。イベントアドバイザーは事情を聞き資料の提出を求めることができる。

IOFの規則を見ていきます。
27 complaint
特に違いはありませんが、提出先はオーガナイザーであって、競技責任者とはなっていません。
28 protest
これも大きな違いはありません。
29 Jury
29.2指名はIOFが行うか、連盟が行います。(主催者ではありません)
29.3ジュリーは3人または5人
29.4主催者はジュリーミーティングに参加できるが裁定時には退出する。
29.5主催者はジュリーの決定に従う
29.7利害相反によるジュリーの代理を指名するのはイベントアドバイザーである。利害相反に対する最終決定はイベントアドバイザーが行う。

30アピール
日本の規則には規定なし。ジュリーが集められなかった場合、またはジュリー解散後の場合に行われる。その対象はジュリーの決定であり、かつその会議の進行に大きな問題があった場合に限られる。提出できるのは連盟だけであり、カウンシルがそれを扱う。

ジュリーのガイドラインには以下の記載があります。
ジュリーは独立した組織であり、提訴に対しては規則をもってあたる。
調査依頼のない提訴はできない。
規則の解釈に当たってはスポーツの公正さが原則として使用される。
ジュリーはEAであることが望ましいし、IOFの主たるイベントではSEAが望ましい。
ジュリーは競技者、チームオフィシャルに渡されたすべての文書を受け取り、イベントのすべてのエリアに入ることを許される。
イベントアドバイザーはジュリーをすみやかに招集できる体制(電話番号を確認するなど)でいなければならない。
主催者はコンプレインとプロテストの用紙を会場に用意しておかなければならない。
イベントアドバイザーはジュリーがいつ会場につき、どこに集まり、いつ離れていいかを連絡する。
ジュリーはスタートやフィニッシュにいくことを求められる可能性がある。ジュリーはコンプレインの判断にかかわってはならない。
コンプレインへの回答は必要に応じてEAのアドバイスをもらいながら運営者がすべきである。ただし、提訴につながりそうな案件についてはその内容と回答を事前にジュリーに伝えられることはある。
投票権を持つジュリーは、審判や、役員のようにふるまってはならない。
ジュリー会議は静かな場所で行う。
イベントアドバイザーはプログラムと規則を準備する。
ジュリーは以下のような他の証拠を集めてよい。
地図や、文書の確認、競技者や係員への事情聴取、その場所への訪問、写真やビデオの確認、コンピュータその他からの出力内容
必要であれば、規則委員会によるアドバイスを受けることができる(規則委員会は会場にいなくても良い)。
結果は理由とともに提訴文書に記載される。ジュリーの同意があり、EAが必要と感じれば票数を提示できる。
判断に至る詳細は明らかにすべきでない。もし、ジュリーの判断に説明を求められる場合は1ルートに限る。EAがスポークスマンのようにふるまうか、必要ならジュリーメンバーにその仕事を託しても良い。ジュリー個人の考えは述べるべきでない。他のメンバーは裁定について競技者、委員、観客、メディアと議論してはいけない。

ざっとこんな記載があります。
違いは、
IOF規則ではオーガナイザーとなっているところの一部が日本の規則では競技委員長という役職になっていること。ジュリーの指定者が異なっていること。
日本の規則ではジュリーに運営経験している豊富なものとの記載があるがIOFにはない。
日本の規則にはジュリーのための準備や、ジュリーの具体的な行動の記載がない

以下は私の解釈もあり、若干主観がはいります。
IOFルールでは、判断にかかわる人はルールを知っていることが前提です。
コンプレインでは主催者がルールに基づいて判断を下します。主催者はある意味利害関係者でもあります。アドバイザーは主催者にアドバイスができます。間接的ですがこの段階ではアドバイザーは判断に影響を与える可能性があります。
プロテストでは利害関係のないジュリーがフラットな状況で判断に当たります。ジュリーには必要な情報を受ける権利と調査権があります。ジュリーの決定は最終でありそのプロセスに問題ない限りは覆りません。イベントアドバイザーは進行役、運営者は情報提供者であって判断に加わりません。回答の過程については公表されません。

訴える人にとっては、2回判断を仰ぐことができ、2回の判断者はお互いに独立しています。
そして、ジュリーでは一切の先入観、利害関係が排除されます。
(様々なバックグラウンドを持つ人で構成されるべきというのもそのためです。個人的には日本の規則で運営経験が豊富なものと規定することは運営側に有利な判断をするのではという疑義があるので、文面としては適切でないと思います。)
議論はジュリー内で行われるべきであり、EAはその議論に加わってはいけません。(独立性が阻害されるため。)

これがちゃんと働いていれば、内容が自分にとって不利で、納得がいかなくても受け入れはできるのではないかと思います。

また、調査依頼、提訴の提出者に気を付けてほしいことがあります。調査依頼という言葉が問題なのですが、基本的にコンプレインは自分の要求を示すもので、調べてくださいという形はとりません。具体的にどうしてほしいかを書いてください。受け入れるか、棄却するかを選べるような形での提出をお願いします。その結果は他の競技者に影響する可能性がありますので、提訴は調査依頼の提出者以外でもできます。
そして、不服がある場合は調査依頼の提出をためらう必要はありません。調査依頼、提訴はJOAに報告され、議論されるため、次の大会コントロールに役立ちます。お互いに面倒くさくはありますが、将来的に関連するみんなにプラスとなるのです。
posted by べん at 22:23| Comment(0) | 知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ちょっと説明を追加します

 調査依頼、提訴、裁定委員会については書き始めていますがその前に。

 前記事において規則について修正を躊躇してはいけないという部分が、規則を作りだすのを推奨していると思われるといけないのでコメントします。また、今回は説明記事でなくて、私の考えを述べる色が強いのでカテゴリはオピニオンで書きます。

 大会で問題が起きたからといっていちいち新しい具体的なルールを加えていくべきだという考えには私は明確に反対します。私が言っているのは、IOFのルールとの間に齟齬があって、それで運営者や裁定委員の判断に問題を生じるなら、IOF規則にそって変えることを躊躇してはいけないという意味です。(もっとも問題なのは26.1ですがそれ以外にも矛盾点はあります。)
 IOFの規則2.3では各国のルールはIOFのものをベースに書くことを推奨されています。もちろん日本の規則もそれに従ったうえで日本に合わせて変えているという意味では、規則に違反しているわけではありません。しかし、今回規則を検討するにあたり、日本のルールを全部読んで、更に国際ルールを読み、其の違いを意識して、EA研修会に臨むのはのはかなりの労力でした。例えば、IOFルールを基本とし、日本でどうしても対応できない部分は注釈で記載するというように規則を書き換えていただくのはダメなのでしょうか。そのほうが誰もが規則を読みやすくなりますし、選手にしてみれば国際大会への対応も容易になります。他のスポーツの規則をいくつか当たりましたが、そういった対応をしている競技が多いように思います。地図委員会がISOM2017に対してJSOMを作成せず、国内の対応を別掲したのは合理的で非常に良いことだと思います。
 
前置きが長くなりましたが、新しい問題に規則追加をもって対応するという考え方に反対するのは次の理由からです。
1.規則が多くなる。:多い規則を読むのは面倒で、みんなに規則を理解してほしいという考えに矛盾する。
2.独自の規則を加えることで、国際規則から乖離し、ガラパゴス化してしまう。
3.事象に対するルールはそのバリエーションに対応できず拡大解釈を生む。
4.裁定委委員の独自性を制限し、その存在価値を低下させる。(裁定委員会の役割については次回延べます)

 問題の事象が日本特有なものであれば別ですが、そうでない場合、規則を追加したいと考えるなら、日本の規則をいじるのではなく、IOFに規則追加を働きかけるべきだと思います。妥当なら議論し、受け入れてもらえるでしょうし、そうでなければそうしない理由を教えてくれるでしょう。
 
 次回記事については年内に頑張ってUPします。

posted by べん at 20:42| Comment(0) | オピニオン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする