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2018年10月10日

長期計画のすすめ

 最後に再度紹介しますが、途中で本文を読みたくなくなるといけないので、まずは文書だけ紹介しますね。これを読んでもらうのが第一の目的ですので。

http://www.orienteering.or.jp/NT/report/woc2005report.pdf

でははじめます。

 世界に目を向けたとき、日本のオリエンテーリングの競技力は年々低下傾向にあります。そして今のままならば今後も同じ状況は間違いなく続きます。
 体力が足りないから、環境に恵まれていないからなどいろいろ言われてはいますが、原因はもっと簡単で、最高峰の世界選手権大会をめざし長期的なビジョンをもってトレーニングする選手が非常に少ないということに尽きます。
 高校で他のスポーツを行っていてフィジカルが強く、本人に技術的な才能があり、入り口での指導者に恵まれれば、大学1−2年生で大学トップレベルの成績を残すことはあります。彼/彼女らには可能性があります。しかしそのまま順調に世界に近づいていけるかというかとそうではありません。大体はそこで頭打ちとなり、3−4年生では大勢の中の一人となります。
日本国内にだけ目を向けていれば、トレーニングを毎日しなくても、また技術的な問題点を明らかにしてトレーニングしなくても、短期的な準備さえしていればそこそこの成績は出てしまうので、高校以前に貯金したフィジカルは徐々に目減りし、気づいた時には他の選手と肩を並べられてしまいます。
 もちろん大学でオリエンテーリングを続けていれば他にも楽しいことはたくさんあるので、多くの選手にとってそのほうがハッピーなのかもしれません。だからこれは本人の責任というよりは、単調な努力の先にもっと楽しいことがあることを見せてあげられない組織・指導者側に問題があるのだと思います。
 しかしこちらを解決するのも実はさらに難しいのです。なぜならそれを語れる成功者が今の日本に存在しないからです。もちろん何をしなければいけないかは頭では分かっています。ただそれは自分が経験したものではありません。(これは選手としてでも指導者としてでも同じです)だからそれを現実感をもって選手にすすめることが難しいのです。

 どのスポーツでも世界的に成功するトップ選手は長期的なビジョンを持っています。その期間は5年‐10年と長期にわたります。
日本の選手はどうかというと、ビジョンというより、社会的な都合によりゴールを定めてしまうようです。私もそうでした。今なら時間があってトレーニングができるとか、来年なら休みが取れるとかいった感じです。ビジョンより都合が優先され、せいぜい長くて来年のことしか考えられません。

 選手からいくらアドバイスを求められても、現在の彼/彼女の実力と目標に大きな差があり、期間が限られていればアドバイスできることは限られます。そこで、たとえば3年後の世界大会を目指してはどうかと問いかけると多くの選手は3年後の予定などわからないと言います。
この時点でこの選手はいくら長くやろうと世界の舞台では戦えません。成功する選手はそれをわからないとするのではなく将来の方向性を決めていきます。そしてそうなるように実行しようとします。

 中には長期計画を避けていながら結果としてずっと世界大会に出続ける選手もいます。結果としてかなりの時間を費やすわけですから、効率的でないのは明白です。 もちろん計画をたてても、いろいろな事情でその計画を断念することはあるでしょうが、計画をたてて断念するのと計画すら立てないのは違います。

 多くの選手はオリエンテーリングのトレーニングは他の活動を制限するととらえがちですが、成功する選手はオリエンテーリングのトレーニングをすることで人生を豊かにすると考えます。
 長期計画を立てるならば、その間に受験や就職、結婚や子育てなどいろいろな人生のイベントが生じるのはあたりまえです。何年何月の大会でこれこれの結果を残したいというビジョンがある選手はトレーニングだけでなく、他のイベントにつての準備も計画して事前に実行します。それがその他のイベントの結果も豊かにすると信じています。もちろん短期的にはそのイベントに集中しなければいけない時期もあるでしょうが、それを見越してトレーニング計画を立てることもできるし、もしかしたら、イベントの時期をずらしたり、イベント自体を変更することもあるでしょう。これは長期計画だからこそできることなのです。

トレーニングそのものに対しての長期計画のメリットをいくつか上げておきます。
1. 体力的なさまざまな要素に対して対応できる。(短期ではなんでも詰め込もうとして結局すべて中途半端になりがち。)
2. トレーニングの量を確保できるため目標を高く設定できる。
3. 長期的に調整できるので怪我や他の人生のイベントにも対応できるため精神的に追い詰められない。
4. 無理なトレーニングをして体を壊す恐れが減る。
5. 無駄な遠征をしなくて済む(少ない資金て効果的なん活動が可能)。
6. 計画を公開することで家族や会社、学校、クラブ、スポンサーなどのサポートを受けやすい。

さて森の世界選手権が隔年開催となったので長期計画が立てやすくなりました。そのためとりあえずは計画を立ててみることを勧めます。
高校生、大学生は、もし学生のうちはオリエンテーリングをやると決めているのであれば、大学卒業までのプランを立ててみるのはいかがでしょうか?他に楽しいことができたなら計画はリタイヤしてもいいんです。今純粋にオリエンテーリングが強くなりたいと思っているならまず計画を立てて、毎日のトレーニングを始めてみてください。
また、海外選手とのコミュニケーションを目的として外国後の勉強でも始めるなら、きっとその後の人生を豊かにしてくれるでしょう。

2021のチェコの準備も始まっていますよ。

https://www.wcup.cz/en/

すでに日本としては出遅れていますが、でもまだ時間はあります。

 正直言うと今から2019のノルウエーを目指しても満足のいく結果を得るのは無理です。世界選手権の舞台で結果を残すことを目的とするならば来年ノルウエーに遠征して、時間とお金を費やすのは得策ではないかもしれません。勉強とか仕事のスケジュールを整えるとか他にやっておいた方がいいこともあります。
 誘われたから遠征にいくのではなく、目標のために効果的だから遠征するというようになればまた景色も変わります。昨今は大会が増えて日本代表のハードルも低くなり、代表として遠征もしやすくなりましたが、そのたびに費用や時間を消費するのも事実ですし、それが自分にとってプラスなのかじっくり考えて遠征計画を立てたほうがいいでしょう。

 チェコのテレインははフィジカルの準備をいまからしっかりやればテレイン的には十分対応できると思います。巨岩地帯をどうクリアするかが大事ですからこの3年で2回ぐらいは事前に行きたいですね。
 この場所で最高のパフォーマンスを行う。そのつもりでこのワールドカップのブリテンを眺めてみてください。ヴィジョンが明確になればこのブリテンからいろいろなことが得られるはずです。ドプススパイクも禁止になりそうですよ。

 日本で成功例がないと言いましたが、全くないわけではありません。それはWOC2005年日本大会に向けた活動です。
 報告書が残っていますので、是非読んでください。最初に紹介したやつですね。

http://www.orienteering.or.jp/NT/report/woc2005report.pdf

 目標が明確であることの意義、成功者としての海外の選手、コーチの言葉が与えた影響、そしてチームとして戦うことの楽しさが満載です。オリエンテーリングというスポーツにもこういう場所があるんだとびっくりするかもしれません。
 
 本当は彼らが経験したことを若者に話す機会があるといいですね。O-Forum でやらないかしら。どうすべきかではなくて、話を聞いてこうしたいと思うほうが100倍のモチベーションになります。それがヴィジョンありきの長期計画のスタートです。

 私はこのときチームの中枢にいたわけではないので、その熱は伝えることができませんが、もしこれを読んでインスパイアされ、チェコ以降を目指す気持ちがでれば計画をたてる際のご相談にはのりますので一度ご連絡ください。そうした選手が5-10人集まれば、チームを形成することができ、トレーニングのモチベーションもあがる思います。
posted by べん at 16:43| Comment(0) | for ATHLETE | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする