地図には実際のものを縮小して描くのだが、多くの記号は縮小した大きさより大きくなることを知るべきである。
大きな建物などは実際の大きさで描くことができるが、小屋などは実際よりも大きい最小の記号で描くのである。
地形の表現なども同じで、微地形があると、地図をつくる方としては、できるだけ書込みたくなるが、ここにも等高線の間隔という最小寸法があり、それに従って情報を削らなければいけないのである。
これは競技者がどの程度まで地図を読むためにスピードを落とすかを決める重要な要素であり、これらが守られないと、競技の公平性をかき、また競技者の技術向上をさまたげる。
地図作成者はルールを守った上で良い地図をつくり、競技者はルールに則った地図を、スピードを落とさずに読む技術を高めていくことがオリエンテーリングというスポーツの質の向上につながるのである。
次の図は先週末の岩手の大会である。
コースも面白く、楽しんだので大会そのものへのクレームではなく、今後の参考ということで読んで欲しい。
公認大会においても無いことはない事例である。
2-3 では間の通行禁止の藪の幅が最小の0.4mm以下である。これでは通過していいかどうか判読できない。そうすると競技者は右に大きく回ってタイムロスするか、ルール違反を覚悟して通れるところをとおるしかない。この時点でスポーツとしての公平性は破綻してしまうのである。
この地図には印刷においても問題がある。特色印刷にしていないため、緑のなかに藪があると藪が切れて見え、そこが通れると錯覚してしまう。それで失格と言われては、競技者はかわいそうである。
特にスプリント競技では地図の判読性はとても重要である。
スプリント競技を行う際には最小寸法と特色印刷を必ずチェックしよう。
ちなみに通過禁止の記号はほぼこの通過禁止の藪の最小寸法と一致している。競技者としてはこの幅を一瞬で読み取れるようになろう。