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2019年03月18日

競技情報の管理とライプニッツ宣言

先日のインカレでは観客を楽しませるための新しい試みがなされていました。まだまだ改善の余地があるでしょうが、頑張ってもらって、見ても楽しいオリエンテーリングになると良いなと思います。
 一方で、競技の公正さや情報の管理と面白いイベントの両立は特にオリエンテーリングにおいては難しい課題です。そこで、情報をどこまで管理すべきなのかについてまとめておきたいと思います。

 オリエンテーリングをもっと多くの地域に広めよう、オリンピック競技に加えようという目的の元、2000年にライプニッツ宣言が出されました。この中で、競技者やオフィシャルだけでなく、メディアや観客、スポンサーや外部パートナーにも魅力的で面白いイベントを開催すること、IOFイベントをテレビやインターネットなどで魅力的なものに変えていくという試みがなされるようになりました。
日本では知っている人が少ないですが、この宣言の影響は大きく、その後オリエンテーリングは大きく変わってきました。スプリント競技やスプリントリレーなどはそのために作られたイベントであったといってもいいでしょう。

 当然IOF競技規則にも影響していて、コース設定においては
16.1.IOFコースプランニングの原則(附則2)と種目原則(附則6)、ライプニッツ宣言(附則5)に従わなければならない。
となっています。

 競技の本質であるコース作成において競技の本質とは言えないライプニッツ宣言が肩を並べています。この要素が入るか入らないかは実はイベント開催時に大きな違いが生まれます。日本ではこのライプニッツ宣言にあまり関心がもたれていなかったため、以前の競技最重視のルールがそのまま規則(習慣)として残り、特に国際大会に近いと思われる主要な大会において、競技者以外を楽しませるイベントの導入が難しくなっています。
 話を具体的なところに戻しましょう。以前は、外部から競技中の選手への情報が流れることについてかなり厳しい制限が加えられていました。実況中継は選手に聞こえるからだめだとか、応援の際に指示が入ったからそのチームは失格にすべきだとかそういったことが普通に言われてきました。しかし、現在ではこれらのことは全くナンセンスと考えられています。観客と競技者の間が狭まり、厳密な管理が不可能となったため、逆に情報についての扱いが、柔軟にかつクリアになりました。
 一つの例としてWOCでのリレーの裁定があります。最終ランナーが最終コントロールを飛ばしてフィニッシュしそうになったときにチームメイトから声がかかり、戻ってパンチしました。この件については申し立てがあり、提訴まで行きましたが最終的には記録が認められています。彼らが許可されたエリアにいる限り、観客からの声援となんら変わることは無く、声をかけることは違反ではないという解釈がなされたのです。(日本の規則が適応されると失格になるかもしれません。)
 規則を見る限り、現在厳密に情報が管理されるのはコースにおいてのみです。隔離がなされるのもコースの情報の管理が主な目的となります。(隔離が規則で述べられているのはWOC、JWOC、Wcupのみでこれらの大会ではTV、インターネット中継が原則。)よって、地図やコースを出して解説したりすることがないのであれば、地図回収をちゃんとすれば、隔離そのものも必要ではなくなります。そうでないのに選手を長時間隔離するのは意味がありません。選手がかわいそうですし、運営負荷も大きくなります。(もちろん役員も施設も十分あるのであれば、特別感を演出する意味で、採用もあり得るでしょう。)
 選手が前の選手のウイニングを知ってはいけないという理由で、速報表示をしないなどの対応がおこなわれる場合がありますが、そもそもタイムを見たからと言って必ずしも有利になるわけではないし、ライプニッツ宣言からすれば観客が速報を見ることはイベントを楽しむための一つの手段ですから、速報は順次出されるべきだと思います。
 周囲からの情報も併走する選手も、突然の雨も、すべて競技者を試す予測不可能な事項と考えて対応すれば、もっとイベントは行いやすくなるし、運営負荷も減ると思います。

 最後に規則内の情報関連の条文を上げておきます。
国際規則
24.1.暫定的な結果は競技の間中、フィニッシュ地点や、集合地点でアナウンスされ、掲示されなければならない。
WOC、JWOC,wCUP22.16.主催者は、スタート前の選手がコースについての情報を得ることを防ぐために隔離ゾーンを設けることができる。主催者は。選手およびチーム・オフィシャルが隔離ゾーンの中にいなければならない時間を定める。主催者は、隔離ゾーンで待つ選手のための適切な便宜(トイレ・給水・雨除け等)を提供しなければならない。選手またはチーム・オフィシャルが締切時間以降に隔離ゾーンに入ろうとした場合は、入場を拒否してもよい。競技者およびチーム・オフィシャルが隔離ゾーンで通信機器を使うことは許されない。
26.2.事故の場合を除いて、競技中に他の競走者から助力を得たり、他の競技者を助けたりすることを、禁じる。負傷した競走者を助けることは、すべての競技者の義務である。
26.4.開催地が公開されるまでは、すべての役員は、競技エリアおよびテレインについて厳密に秘密を維持しなければならない。コースについては厳密に秘密を維持しなければならない。
26.5.競技テレインの調査や練習することを試みてはならない。競技の前または競技中に、主催者が提供する以上にコースに関する情報を手に入れることを試みてはならない。
26.7.チーム・オフィシャル、競技者、メディア取材者および観客人は、許可されたエリアの外に出てはいけない。

競技規則
20.6競技進行中、成績の速報は、順次掲示する。
22.4.テレインの位置を公表しない場合、すべての運営者は、大会区域とテレインを厳重に秘密にしておかなくてはならない。大会の場所を知ろうとする試みは禁止する。*もはや意味のない。昔の名残か?
22.6いかなる競技者も、不公正な手段により他の競技者より有利な立場に立とうとしたり、走あるいは方向決定に助力を得たりしてはならない。
23.7競技の行われている間、競技に関係する人はそれぞれ指示された場所に留まり、他の競技者に影響を与える行為をしてはならない。*ここもたぶん昔の名残。
posted by べん at 15:56| Comment(0) | 知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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