2017年06月24日

地図作成者および仕事依頼者に望むこと

地図を作成したことのある方に質問します。
原図の縮尺はいくつでしたか?

 地図作成に関しては、10000の地図でも15000で作図し、それを10000に拡大印刷することが基本です。10000の地図を作成して15000にしてはいけないのです。
 倍縮尺での調査ということであれば、7500で調査するのが適正です。

 日本人の特性なのでしょうが日本の地図は細かすぎです。もともと細かい国民性の日本人が5000原図で調査しては競技者が地図を読みにくくなるのは当たり前です。
 記号には最少寸法があるのですが、ほとんどの地図でこれが守られていません。あまつさえルールにない記号を使用したり、記号を小さくしたりしてより詳細に表現しようとする人もいます。補助コンタはできるだけ使わないのがプロの仕事です。

細かく調査することで起きる不都合はたくさんあります。
@調査コストが上がる。
A調査期間が長くなる。
B地形があるところだけ細かく調査されて、全体の均一性が損なわれる。
C地図が判読しにくくなる。
Dエリートが速くならない。

Dはエエッて思うかもしれませんが、日本の地図(それも良いといわれている地図)で走っていると細かい特徴物でも地図に書かれていると思ってしまうため、海外でレースをする際に余計な地形に引っかかってミスをする。もしくは余計なところで地形を拾おうとするので走行速度が遅くなるなんて影響が出てきます。

というわけで、地図作成の仕事を頼む際には依頼側も完璧な地図の作成を求めるのではなく、地図が全体として均一であること、範囲全体を網羅していること、最少寸法を守っていること、そして納期を守ること(これ大事)を優先して依頼されると良いかなと思います。
最少寸法で入りきらない小さな崖が入っていないとか、小さな藪がかいてないとかのつっこみは避けていただきたいなあと思います。
posted by べん at 18:23| Comment(0) | オピニオン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月23日

全日本優勝設定時間の分析

全日本大会の優勝設定時間が適正かどうかについて分析を行いました。
 結論としては、テレイン特性、季節の影響の読み違えのため全般的に優勝タイムが短かったということはあったものの全般的にはバランスの良い優勝タイムとなったと思います。

 テレイン特性値は試走タイムにより設定しました。基本とした2名の試走者のタイム比は適度でしたのでこれを基本線として検討しました。想定していたテレイン北部は諸般の事情でキャンセルとなりましたので、南部(今回のテレイン)のみのタイムを採用し、ミスと思われるタイムを抜いたうえでキロタイムを算出しました。試走当日は雨であり、また試走ということでモチベーションも違った中でのものでしたが、当日も悪天候になる可能性があるためモチベーション分のみ10%増しとしてキロタイムを決定しました。
 これまでのこのエリアでのキロタイムと比較するとかなり遅いタイム設定となりましたが、多人数の参加を考え、安全な方を選択しました。エリートだけ伸ばすという方法もありましたが、エリアが狭くなってしまったため、全クラスにおいて出入りコントロールをなくすという公正性の確保とレッグの質の維持を考えると長いクラスをさらに長くするということは現実的に不可能でした。
 距離はWMOCの速度比を基本として作成したエクセルシートにより決定しましたが、これもまた安全性を考慮して設定タイムをオーバーしないように全体を調整しました。

 大会の結果から男子は35-45の層はややタイムが遅くなりがちなもののほぼWMOCの基準で良いということがわかりました。女子に関しては、層が薄いこともあってWMOCの基準からはかなり遅く、適正なテレイン特性値にするとさらに遅くなることがわかりました。

 以上を踏まえて、同一のクラス分けを採用することを前提に次回に向けて比率の改定案を作成しました(表の赤字の部分)。
 男子のベテラン・若手の設定は基本そのまま、女子に関してはWMOCの基準を生かし、ベテランを2段階ずらして遅くしました。もともと、女子に関しては、登りや、藪が増えると男子との差が広がるといわれていますので、藪とのぼりが多い日本のテレインでは妥当な配慮かもしれません。
 エリートに関しても比率を見直しましたが、他のクラスとは分けて検討する(試走結果にかかわらずエリートなら当然走ってほしい速度によりコースを組む)ことも一つの案です。今回のようにコースを適切にコントロールすれば、それも可能であると考えられます。

 優勝設定タイムと速度比率をかけて、距離を計算し、同一距離となるコースを統合したものが3つ目の表になります。
 4つ目は縮尺です。今回は70歳以上で縮尺変更を行いましたが、男女同一コースがあるためコース以上に印刷版が増え、運営の負担となりました。男女で縮尺変更年齢が変わってしまいますが、次回はコース別の縮尺として運営負担を減らす方向が良いと思われます。
全日本仮想ウイニング検討2.pdf
posted by べん at 21:31| Comment(0) | オピニオン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月22日

全日本のコースについて

 最初に言っておきたいのですが、コースの問題については、以前も触れたように、この大会に限ったことではなく、この記事は個人を攻撃するものではありませんのでよろしくご理解ください。

大会のコースを組むにはコース設定の原則にのっとって行われる必要があります。
大事なのはコースが面白いかどうかでなく原則にのっとって組まれているかどうかです。
コースセットをする際には最低コース設定の原則を理解すべきだと思いますが、コースプランナーには資格がありませんから、資格を持ったディレクタが指導する必要があります。競技力があるからと言って原則にのっとったコースが組めるわけではありません。またコントローラは原則にのっとったコースが組まれているかをチェックしなければなりません。
このチェックシステムが機能していないのであれば、これは組織の問題です。

 適正なコースは初級者がオリエンテーリングを深く知っていくためのガイドとなります。適切なコースが組まれないことは、競技力の向上のみならず、皆さんが気にしている競技者を増やすことについても大きなネックになることを理解していただきたいと思います。

 私が見たコースは会場に張り出されたコースと家族が走ったコースだけなので、全体についてのコメントではありませんが、その範囲で気になったことをコメントします。

エリートコースについて:
 今回の種目はロングです。ロングの基本はロングレッグにあります。(詳しくはルールを読んでください)。そういう意味で今回のコースはロングでなく長いミドルになってしまっています。(21Aはロングらしいコースだったので残念です。)ロングとミドルではコンセプトが違うので、一生懸命ロングの準備をしてきた選手にとってはとてもかわいそうなことです。

15Aについて:
 15AやBクラスはlevel3(levelと各クラスの難易度については指導教本を参照してください。)に当たり、道から離れて、森へいざなう為の大事な入り口です。12クラスはlevel2であり、安全性を配慮して、複数の道から正しい道を選ぶ、道から見える特徴部にあるコントロールを見つけるといった道の周囲に目を向けることが課題です。この2つが同じコースになることは避けるべきです。

 現ルールだと公認大会のこの段階の次は急に難度が上がります。(大学生においてはlevel4をとばし、成人なってから参加する選手は4,5を飛ばしていきなり最高レベルの6になるのです)。この段階で最低限ちゃんと方向への意識をつけてもらい、確実な場所から正しい方向に進めばコントロールにたどり着けることを理解してもらわないことには、特殊な才能のある人か、怖い物知らずしか生き残れないスポーツになってしまいます。個人的には幼少期からオリエンテーリングの経験がない日本で成人の競技者を取り込もうとするなら、少なくともBクラスはLEVEL3、Level4の2段階に分ける必要があると思っていますが現行ルールではそうはなっていません。

 最後に2015のoforumの資料のうち、公開していなかったものを公開します。中身が不十分で公開していなかったものです。いわゆるhow toであって、ルールで決まっていない個人的な見解も書いていますのでそのつもりでお読みください。本来はJOAで中身を修正し、指導者講習会で使ってもらうと良いのですが一向に動きが見えないのであえて公開します。後半部分についてはきっと錯誤もあり、もっと運営経験のある人に修正していただきたい内容ですが、前半の机上部分については十分参考に値すると思います。

蛇足ながら、この資料にそった形で全日本の旧地図に全日本のスタート・ゴールを使って、具体的なエリア分けやコース例を加えておきました。登りやウイングタイムをちゃんと計算しているわけではありませんし、現実にある渉外上や安全性の問題(コース設定における最優先事項です。)も知りませんので、単にアイデアとしてとらえていただければと思います。
 縦線は傾斜がきついので避けたいエリア。赤線で囲まれた部分の小さい方は、シニア用のメインエリア、大きい方は準メインエリアです。
 エリートのコースについては2qのロングレッグを設定してそれを中心に9kmのコースを組んでみました。ルートチョイス課題が多く難易度が下がっていることがお分かりになると思います。
短いコースついてはシニア(メイン)エリアを中心に組んだコースです。1q程度のルートチョイス課題を確保しています。急なのぼり下りを避け、体力的な負荷を下げるようにしています。

 IOFの資料のGuidelines for Course Planningでは各種目についてWOCの地図付きでジョルジュが解説してるので興味があればご覧ください。かなり面白いです。
大会コース設定の手順.pdf
long.1.jpg
long.2.jpg
posted by べん at 20:03| Comment(0) | オピニオン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする