2014年10月22日

全日本スプリントコントロール

全日本スプリント選手権が終了しました。
その大会のコントロールを行ったので、そこで注意したことを書いておきます。
現地やコースについては最終的には完成した地図と完成したコースでおこなわなければいけないものですが今回は、準備の遅れが大きく、実際に見たのは前日ということで十分なコントロールは行えず、公式掲示板も煩雑になってしまったことをまずお詫びします。

1.テレインについて
 スプリントのテレインはパーク、または街を基本とします。スプリント競技は世界的には1/10秒を争うスポーツです。森を使わないようにするのは、地図作成者の主観によって変わりやすい森の表記や、通行可能度によって運が介在する確率が高くなり、競技性を損なうからです。
 今回は比較的森が走りやすい場所であったことで、長く森を走るルートチョイスを少なくすることでコントロールできると判断しました。

2.コースについて
 スプリントレースでは、速く走る、速く判断するということを競います。したがって探さなければいけないようなコントロールや、位置説明を読み込まなければ間違えそうなコントロールは不適です。
 コントロール位置は誰にでも明確であるように努めました。この考えによれば、コースの難度は低く、本来Bクラスも必要ないということです。
 予選は、波乱のないように簡単に(速く走れない人ひとは落ちます)。決勝は多彩なルートチョイスを夭死した判断ストレスの大きいものになるようコントロールしました。
 森を走る課題では、まったくルートチョイスがないか(まっすぐ走ることで走路が同じになる)、森を長く走ることがベストルートにならなういようなるレッグになるようにしました。(短距離ののショートカットは許容する)。また森を走る際にも先の目標物が見えるように配慮しました。
 選手権以外のクラスは、もっとミドルの要素を多くして難度を上げるという選択も実はあるのですが、今回は予選決勝でエリアを分けた関係上、走り主体のコースになりました。

3.地図について
 判読性と正確性が大事です。
 スプリントの地図では、細かなものを拾えますので、書きすぎてしまう恐れがあります。場合によっては書き込むために、決められたサイズより小さい記号を使ってしまうこともあります。選手は高速で走りながら地図を読みますので、書きすぎは混乱を招き、不公平となります。
 今回の調査者は地図委員会のメンバーでもありましたので、作った記号は使わないという前提のもとでチェックを行いました。また、最少寸法(特に境)をチェックし、走りながら通過できる場所とできない場所が明確に判断できるかを見ました。とはいいつつ、地図の出来上がりが遅かったため、十分なチェックは不可能で、ほぼ作図者の頼ったところがあります。
 コースは狭い範囲での大会ということもあり、判読性を高めるために2マップとし、レッグ線やラインのカットなどについても気を遣いました。

4.現地の表示
 現地については、地図ではわかっていても流れとして通過してしまうということを避けるために、そういう部部にはテープを張るということで対応しました。事前に走行可能度の不確定な藪の部分を通過禁止としてテープを巻き、不公平性をなくすことも検討しましたが、コース作成のほうで対応できたのでそれはやめました。予選の駐車場の通過禁止場所については、危惧はありましたがコースレイアウト、渉外上の問題、人員配置などの問題からそのまま行いました。実際に何人かがショートカットを行いましたが、予選であったこと、実際の時間が1−2秒であることで、今回は失格とはしませんでした。スプリントでは世界レベルの大会でもこうしたことは珍しくありません。これは競技者が悪い、運営者が悪いということでなく双方がルールを理解して、より誤解なく、スムーズな運営方法を探っていく必要があるということです。今回の場合は距離を稼ぐのは必要であったので、できることととすればその箇所の人員を増やして駐車場を囲むことや、駐車場に車があって運不運が出ることを承知で立ち入り禁止としないということだったでしょう。

5.公式掲示板
 直前のチェックへのウエイトが大きく煩雑になってしまいました。
 位置説明については私のチェックもれと、チェックに対応してもらえていなかったの半々です。余裕をもった準備が必要です。スプリントだから何とかなるだろうというのは大きな間違いで、細かなところが重要になるスプリントだからこそ早期の準備が必要です。2か月くらい前には地図もコースも出来上がりそれから細かな点を修正していく必要があります。
 現地で特別なものを使う場合には周知が必要です。その大半は準備が早期に進められていればプログラムで提示できたものです。コントロールの設置の仕方も事前にコントロールを設置しての試走が行われれば使う資材も明確でプログラムに記載できていました。実際には朝のコントロールチェックで確認したものです。フラッグが全方向から見えませんのでそのままでは不適でした。

6.謝辞、反省
 今回はとにかく準備が遅れていて不安だったのですが、ルールをよく知っている作図者の方がいたこと、主に施設敷地内であったので、必要な渉外、機材の準備を野外活動センターの職員の方に請け負ってもらったこと、静岡県協会の方々の運営経験が豊富であったこと、当日が晴天に恵まれたことなど様々な幸運がかさなり。何とか大きな問題なく終われました。ありがとうございました。
 ただ、いつもこういう好条件ではないので、とにかく速い準備が必要です。それがなければコントローラーは名ばかりで何の仕事もできません。それは競技者、運営や、コントローラすべての人々にとって良いことではないと思います。1か月前には大会を待つばかりという状況にしたいものです。
 敷地内の一部の手すりが柵表示になっていなかった点ですが、ルール違反ではないですが、写真表示などを行なえばより公正な競技になっていたと思います。

7.その他雑感・蛇足
 予選の駐車上通過ですが調査いらいはありませんでした。運営側で独自に掲示したものです。
 提訴があった場合も対応するつもりではありました。提訴というとすぐ不成立という話になってしまいますが、実現可能で申請者の利とする提訴のしかたとしては、私は突っ切らなかったため2秒おくれてそのせいで予選を通過できなかった。不公平だ。予選通過とすべきだというやりかたになると思います。このケースは実際に世界選手権でもありました。
 大会を不成立にすることは該当競技者、その他の参加者と運営者双方にとっても望む結果ではありません。そのことを念頭においた対処が必要だと思います。
 競技規則もあまり理解していない参加者が、競技的ではない、違反だと騒ぐのはどうでしょうか?さすがに選手権レベルだと考えますが、地方の大会で不成立にする必要がありますかね。競技そのものは成立でいいじゃなですか。、不公平をこうむった参加者には、地図を1セットあげるとか参加費を軽減するとかで対応してもいいと思いますよ。
 今回(コントローラの仕事としては適切ではなかったですが、競技理解のためにアナウンス担当もやっていました。競技が始まったらほとんどコントローラの仕事はありませんので。)競技説明・アナウンスをしていたら、それは競技情報を教えていることになるというご意見もいただきました。しかし、スプリントでは観客からの様々な声掛けへの対応や視線の中で冷静に競技を行うのも課題です。観客がマップ交換所でだれだれに何秒勝っているといったらもうルールいはんでしょうか?不成立でしょうか?ロードレースではそうですか?
 さすがに事前にコースを見せるなら別ですが、断片的に情報を伝えることが競技規則に違反することにならないと思います?
 スプリントはオリンピック採用を目指し、観客に見てもらって一緒に楽しむことを目的とした競技です。観客に楽しんでもらうためにできる限り情報を流すことが、観客の増加、普及につながるものと思いますがいかがでしょうか?

8.さらに蛇足
 運営者は不公平が生じないように注意を払って運営する。そうしていい運営をすることが運営者としての達成感であり喜びである。そんなことまで面倒くさいとおもったら喜びもそこまでである。
 競技者はそれでも運営上のほころびはあることを知るべきである。強い競技者を目指すなら、雨が降ったりすることや、大会直前に森作業が入ってしまうこと、運営者のちょっとしたミスを自分の失敗の理由に挙げるべきではない。そういう場合に動揺しないようにするには日ごろからどう対処したらよいか。つねに考えなければいけない。
 良い競技をして喜ぶのは自分である。その自分を実現するために競技者ができることは自分をコントロールすることだけである。自然や、アクシデント、(それに他人も)コントロールすることはできない。
 運営者も参加者も自分のすべきことをやり、お互いを考えていい大会を作り上げたいものです。同じオリエンテーリングの仲間なのですから。
 
 

 
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2014年09月23日

東京都選手権

  スプリントやパークならまだしも、フォレストのオリエンテーリングで高校生と中学生を同じコースにするのは止めましょう。
  Ocadでコース設定、自前で印刷が可能なのですから、昔と違ってコースを減らす必要性もあまりないのです。中学生と高校生では技術課題も違うし、体力もちがいます。
   これでは中学生に大学受験の問題をやらせて序列をつけている様なものです。

  ましてや  年代別のBクラスがないのですから、始めて間もない競技者にいたずらにつらい思いをさせない配慮は絶対に必要です。

  年少クラスのコース設定にこそ、細心の注意が必要です。それをしていかなければ、競技人口は絶対に増えていきません。

  どうしても同じコースにする必要があるなら、レベルは下位のクラスに合わせましょう。

posted by べん at 22:59| Comment(0) | オピニオン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月09日

動機づけ

成功する競技者が、そのスポーツを行う動機はそのスポーツそのものにあり、自分の内から生まれるものである。内なる動機のないところに成功はない。それがなければ単調な繰り返し練習にはとても耐えられないからである。

香港コーチングクリニックの講師であるヨランが書いた文書に以下のようなものがある。

「競技志向型のオリエンティアもまたこのスポーツを楽しむが、結果よりむしろ同じスポーツを楽しむ仲間との関係をつくることにより興味があるオリエンティア達とは違った振る舞いをする。
彼らは競技会に関連する方法で一生懸命練習し、準備にたくさんの時間を費やし、最善を尽くすための助けになるどんな些細な情報でも求め続けるのである。」

楽しいから一緒にやろうよという言葉や、私も行くから一緒に行こうよという言葉は、大学のクラブの勧誘ではいいかもしれないが、世界大会に誘う言葉としては全く不適切である。
特に競技に興味を持ちだした大事な時期の若手にそういう誘導を行えば、彼らは競技そのものでなく、仲間づくりへの動機づけを助長され、競技への真摯な態度をスポイルされる。そうして育った選手は同じメッセージを次の選手に発信することとなる。それではハードなトレーニングを続けるのは不可能であり、そんなメンタリティでは本番で良い結果を残すことはできない。
世界大会へのハードルは近年とても低くなってしまった。毎年のように多くの選手が日本代表を名乗り世界大会に参加する。オリエンテーリングを初めて1年2年の選手が、大した努力も経験しないまま、少なくともその年代では最高の舞台に立ってしまう。そんな状況で努力を続けるモチベーションは高まるのであろうか?
もちろん、選手に罪はない。チャンスがあれば出たいと思うのは当然のことである。若手に経験をさせること自体は大事である。しかしその場合組織がもっとも重要視すべきは結果でなく、その経験をいかにトレーニングへの動機に転換させるかである。実際に競技をするのは組織でなく、選手だからだ。
選手は日本代表という位置を与えられれば、その責任感で頑張るかもしれない。みんなから賞賛されもっとやりたいと思うかもしれない。しかしそれらは外からの動機であり、大会で(ほぼ当然のように)痛い目にあったり、時期が過ぎてしまえばすぐしぼんでしまうものだ。結果ではなく、もっとうまくコントロールにたどり着けたら楽しいだろうな、とかもっと速く強く走れたら楽しいだろうな、このコントロールはうまくいったからこれをすべてのコントロールでやるにはどうしたらいいだろうか?とかそういったことに目を向けさせればおのずと彼らは努力し、成長していくであろう。
こうした動機さえ持っていれば受験や就職活動・卒業による引退で一時期離れようが、いずれオリエンテーリングに戻ってくる。オリエンテーリングはそれだけ楽しいのである。

 コーチの仕事は選手が最高のパフォーマンスを行う助けをすることである。
オリエンテーリングにおいてはその本質は大会時に作戦を考えたり、アドバイスを与えたり、良い環境を整えることではない。なぜなら、オリエンテーリングは本質的に個人のスポーツであり、競技においても練習においてもほとんどの判断を自分で行う必要があるからだ。選手はどんな悪条件でも自分の力をだせるためにハードなトレーニングを継続しなければならない。それを支えるための動機を如何に生み出し維持させるかが、コーチに要求されるもっとも重要な仕事なのである。
posted by べん at 17:23| Comment(0) | オピニオン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする