2016年03月27日

必要なトレーニング

 さて海外大会の向けてのセレクションも近づいてきた、代表になれればそれでいいと思っている選手も中にはいるだろうが送りだす側としてはそうも言っていられない。経験することは大事なので、JWOC初参加の選手には目をつぶるとしても、2度3度と参加しようとする選手やWOC選手にはそれなりの努力をしてもらわないといけない。

トレーニング時間
先ず世界のトップ選手のトレーニング量について見てみよう。今年のコーチングカンファレンス使用からの引用となるが、トップ選手は総じて年間400〜800時間トレーニング費やしている。これがフィジカルトレーニングだけなのかメンタルトレーニングも含めてなのか国によって異なるようである。選手の考えや、環境、日ごろの身体活動などによってその量は様々ではあるが、最低ラインとして400時間、月換算で33時間をトレーニングに費やしているという事だ。そういう選手達と競うんだという事を覚えておいてほしい。

トレーニング時間の例)
スエーデン400−800時間
フィンランド(2005) 男子550時間、女子500時間
スイス 19歳 580時間 23歳 720時間(メンタルトレーニング含む)
フランス 500‐800時間

トレーニングの内訳
トレーニングの内訳については幾分国の事情を考慮する必要がある。北欧では冬は雪の為ランニングトレーニングを行うことが困難であり、ランニング系のトレーニングの割合が少なくなる。オリエンテーリングも減る。常にオリエンテーリングできる環境であるフランスはそれを生かし、オリエンテーリングの割合を高めて強国になっていった。
 さて日本人選手がオリエンテーリングに費やしている時間は短いかというと決してそうではない。週2時間オリエンテーリングを行うと年間に96時間となりスイスチームと比べてもそん色はない。トレーニング全体に対する割合としてはむしろ高いくらいである。ランニングも週4時間行うと同レベルに追い付く。ただ問題は中身であろう。ランニングについてはオリエンテーリングの特性を考慮し、高強度+低強度のトレーニングの組み合わせ、インターバル、不整地でのランニングが必須である。
 実は、ランニング以外のスポーツで持久力を高めることや、ロードやトラックで走り続けないことが、トレーニング量を増やす際の障害の予防に役立っていることを見逃してはいけない。スプリントが始まってロードのトレーニングが増えたことで怪我が増していると考えているコーチもいる。
 もう一つ注目すべきは総じてトレーニング全体の12−3%は筋力トレーニングに当てられているということである。

トレーニングの内容の割合例)
スイスチーム
19歳 580h(O80,メンタル100、筋トレ70、ランニング180)13%、17%、12%、31%
23歳 720h(O110、メンタル150、筋トレ80、ランニング280)15%、21%、11%、38%
足りない時間は他の身体活動。スイスはメンタルトレーニングに力を入れている。

フランスLucas Basset
498h 033%、ラン45% 他22%(12%筋力)
フランスは技術トレーニングが多いが、彼は少な目。
thierryらはオリエンテーリングが40−50%であり強度の高いトレーニングはすべて地図を持って行っている。

 私のトレーニング(2月)は以下のようであった。
30h(O7、メンタル6、筋トレ4、ランニング13(ロード・トラック9、不整地4))
   O23%、メンタル20%、筋トレ13%、ランニング43% 
 メンタルトレーニングは主にコースプランやトレーニング計画、トレーニング記録、栄養記録、アナリシスコメントなどであった。

量は少ないが(1年続けて360時間、フィジカルだけだと288時間)効果的な内容だったと思う。

 今年代表になった方には最低このぐらいはやってもらいたい。長年サボってきた50過ぎのおじさんにできるのだから決して体力的に無理のある量ではない。(ランニング距離は規定してないし、ランニングを他の身体活動で置き換えていい。)ここで2か月しっかりとしたトレーニングを経験しておくことは、本気でこの競技に向かい合おうとするときに財産となるはずである。
 1日1時間くらいはオリエンテーリングに費やすのは当たり前である。日本を代表して走るのです。それができないなら代表になることを考え直してほしい。

 もちろんこれは最低ラインである。WOCで成績を残したり、他の大会で予選を通過しようと考えるなら、全然足りない。全体のボリュームアップは必須である。
 ただ、ボリュームアップは短期的に可能なものではない。急にトレーニング量(特に走る量)を増やすことは危険であるので(特にジュニア初代表でこれまで継続的なトレーニングを行ってきていない選手にそれが言える。)、さらに努力をする意思があるなら、まず机上トレーニングなどメンタルトレーニングの時間を増やすことを考えて欲しい。 またフィジカルの量を増やしたいと考えるなら、体作りとして筋力トレーニングまたはランニング以外の持久活動を増やすことをお勧めする。
 もちろんトレーニング内容は個別の事情を鑑みて決めるものであるので、アドバイスが必要なら是非申し出て欲しい。
posted by べん at 17:59| Comment(0) | for ATHLETE | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月12日

1月強化合宿

1月の強化合宿についてです。
 強化事業の中での私の立場や日程がいまいちはっきりしないのでコメントを避けていましたが、どうやら私に対する批判もでているようなのでコメントしておきます。日程については長期的な予定に配慮して十分時間的な余裕をもって準備していました。結果としてそうなっていないのは私の預かり知るところではありません。
 ただ練習していれば今よりも良い成績が残せるわけはありません。世界でより良い成績を目指すならいままでの取り組みを変えていかなければいけません。いまのやり方なら今の成績が限界です。
 
 まず本当にやる気のある人にリソースを集中することが必要です。やる気というのは人生における優先度です。この合宿では選手のやる気を見たいです。皆さんもいろいろ都合があると思いますが、私は自分の都合で日程を決めているわけではありません。私にあるのは必要な選手になるべく早い機会に必要なことを伝えておきたいということです。(本当は9月早々にやりたかったくらいです。)まったく自分の予定を考えず日程を決めてもらっています。
 
 もう一度いいますと私は自分の予定を考えないで、この合宿を最優先に考えています。それは世界を目指すみなさんに無駄な時間を過ごしてほしくないからです。強くなるには時間がかかります。
 
 みなさんはどうですか?他の予定を優先するのは個人の自由だし、私は強制するつもりはありません。ただもし私に選手起用の権限が与えられるなら(その辺もはっきりしていないですが)競技の優先順位の低い選手は起用しません。それでは絶対に今の成績以上は出せないからです。

 この合宿のコンセプトは、自分で強くなれるようになることです。すでに自分で強くなる方法論を持っていたり、他の指導者から十分な(世界で戦うための)指導を受けているのであるならば無理に参加する必要もありません。その代わり、説得力のある報告をしてヨーロッパ遠征するなどして国際大会で結果を残してください。
 それができず、なおかつどうしてもこの時期に出られないのであるなら、いまのところ私はこの活動を優先しているので、別の機会を設けてもいいです。しかし、会場や費用の手配は自分でやり、正式にとお願手続きは踏んでください。こちらが努力をして設定する機会を利用しないのだから、費用も労力もかかるのは当たり前です。
 
 要項では十分にわからない合宿の流れを書いておきます。講義といっても聞いているだけではありません。実際に自分の計画を作ってもらいます。この合宿終了後に、すぐトレーニングをスタートできるようにします。

1日目 将来のVISONを明らかにして長期計画を立てる。
 1.事前準備として
   自己評価、目標設定のための資料を送ります。合宿までに記入してください。
   大まかな長期(1年〜5年)計画を書いてきてください。
   来週1週間のトレーニング予定を書いてきてください。
 2.世界との差を知る
   選手のレベルや、強化体制の違いを知る。
   自分の位置と、世界のレベルから目標や計画を修正してみよう。
 3.オリエンテーリングに要求される能力を知る
   自己評価と比較して計画を修正してみよう。
 4.自分の能力の確認
   走力測定他

2日目 長期計画に従って明日からできる具体的なトレーニング計画を立てる。
    体調その他の状況によりトレーニング内容を変更できる方法論を学ぶ
 1.以下の事項について基本的な知識を得る。
 @フィジカル
  トレーニングの目的、トレーニングのアイデア、
 Aメンタル
  トレーニングの記録、振り返り、レースアナリシス
 Bテクニカル
  最低限必要なこと
 2.各論を聞いてトレーニング内容の修正を行う。
 3.トレーニングの実践
 4.トレーニングプログラムの変更の実践。

 なかなか広報されませんが、16日17日は東海地区での実施を進めているようです。早く公表されるといいですが。
 最後になりましたが、これは正式な情報ではありませんし、最終的な決定権はないので変更の責任は負えません。今のところ私にできるのはそのつもりで資料を準備することだけです。
 
 
 
 
 



 
posted by べん at 20:25| Comment(0) | for ATHLETE | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月22日

どうしたら世界に近づけるか

どうすれば日本チームは今以上の成績を残せるか。
このことは常に私にとっての課題であり、研修に参加したり、情報を仕入れる中で新しい方向性についてある程度まとまってきてはいた。私としては一刻も早くアクションを起こしたいと思っていたのだが、強化委員会の来期の動きと歩調を合わせていたため今まで公に話をしないでいた。
しかしながら、決定はどんどん先延ばしになり、年末の合宿はなくなり、貴重な準備期間の3ヶ月を無駄にしてしまった。さらにやっと公開された強化方針も読んでもコンセプトがわからない。
そこで、私が今後の強化に関わろうと関わるまいと、考え方は早期に公表すべきであるという結論に達した。

私が強化委員会に提案した内容は以下である。

1. 強国のトレーニング状況は年々工夫され進歩している。その中で今のような活動を継続していても成績の向上は全く期待できない。もともとJOA合宿は世界選手権に出場する選手の固定化、高齢化を受けて、一般競技者にエリート競技としてのオリエンテーリングに目を向けさせることであった。出場選手の入れ替えや学生クラブの練習のヒントになるなど当初の目標はある程度達成されたが、リソースの関係から選手を志向して以降のフォローはできておらず、エリート競技者にとっては単なる練習の場にしかなっていない。
2. 成績を向上させるには、強化委員会の主な活動を一般競技者のリクルートから強化選手向けの活動に移行すべきである。(その上で運営の負担にならない範囲での強化選手に次ぐ選手のトレーニング参加はみとめる。)
3. 強国のようにトレーニングセンターに選手を集めて毎日のトレーニングを行うことはできないし、各クラブにもそのノウハウはない。競技者自身が効果的なトレーニング方法について学ぶ必要がある。
4. その上で日本でどうしてもできないことについては、海外で練習を行う機会を設ける。
5. JOAとしての目的をWOCに絞り、それ以外の国際大会を練習・経験の場と位置づける。(これによりそれらの大会での調整の仕方も大きく変わる。)

具体的な施策として。
1. 合宿内容を基本的に強化選手対象とする。
2. できるだけ早期にトレーニング理論について学ぶ合宿を行い、科学的に計画的にトレーニングを進める。特にフィジカル、メンタルトレーニングの実践を日々行ってもらい、その後の合宿はそのチェックの場とする。
3. 技術的な練習については、ミスのない正確なオリエンテーリングの獲得を目的に進める。
4. 合宿には常にゲストを招待し、それぞれの専門性から話を聞く機会を設ける。
5. WOCに関しては自前でトレキャンを設定し、出場希望者はその合宿への参加を原則とする。ここでは現地のコーチを雇用して実施する。テレインでのランニングスキル・反応の改善は日本では経験できないことであり、その遅れの積み重ねが本大会での大きなタイム差となる。これは日本に関わらず、多くの国が抱える問題である。
もちろんそうすることで選手にとって金銭的、社会的な負担が大きくなる。しかし、海外での活躍を考え、基本手続きが身についているならば、日本で10の大会に出るのをやめて、金銭と社会的な役割を海外キャンプのためにプールした方が効果的なのは火を見るより明らかである。目標が明確ならば、無駄に時間と金銭を使うべきでない。ある程度経験を積んだオリエンティアにとって高頻度のナビゲーションを要求されないオリエンテーリングは技術を高めることはなく、むしろ集中の継続を妨げる恐れがある。

強化選手の義務と権利は
 強化選手には自分の意思で活動してもらいたい。自分の力で強くなる方法論と実行力をもっていればそれを通せばよい。但し、それは世界で戦える結果を自分で出すということである。残念ながら現状で日本選手権を取るだけではそれには当たらない。海外での結果が必要だ。一方、すべて指導者の言うとおりに行うのでは成長もしない。指導者と議論し、より良い方法を探す必要がある。
 議論のためには基本時に同じベースをもつ必要がある。トレーニングの方法論を学ぶのはそのために必要なことである。
 以上の点からトレーニング理論を学習する合宿への参加は必須とする。また、WOCに参加するためには現地での事前合宿への参加を原則とする。それ以外の拘束は考えていないが、報告とフォローは当然行われる。
 
さらにその上に行くためのプラン
 ここまでのことを行ったとしても同等なトレーニングを行っている北欧在住の選手に勝つことはない。実力をつけた上で、海外のトレーニングセンターで他のナショナルチームの選手とトレーニングするか、有力な地域クラブのメンバーになる必要がある。
 強国でも社会人になってから実力を伸ばすのは難しく、学生のうちにどれだけ実力を伸ばすかがトップ選手になるために必要なことのようである。(ナショナルチームのコーチが選手に望むことはできるだけ学生でいることという話もある。)
 オリエンテーリングでの成功と、その後の人生の成功を考えるためには、海外留学を含めた人生設計が重要であり、少なくとも大学1年生からの長期的な計画が必要である。そうすれば、就職の際になってあらためて悩む必要もない。自分がこの競技でどこまでいけるかもわかるだろう。競技者としての実力も、社会人としての実力も学生のうちに磨くのである。
posted by べん at 21:28| Comment(0) | for ATHLETE | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする