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2019年03月07日

コントロールの公正な設置について

一昨日、昨日と久しぶりに練習会に参加してきました。容赦なく登らせていただきありがとうございました。
さて、規則の細部も読み込みましたので、人によってちょっと解釈が分かれている(ような気がする)コントロールの置き方について覚えがきとしてまとめてみました。

国内の大会では国内ルール使われますが、国内でも国際大会(WREなど)はIOFルールが適応されます。

1.コントロールコード(識別番号)
競技規則:31以上、混同しやすい番号は使ってはならない。(具体的な番号あり)
IOF規則:31以上、混同しやすいばあいで水平方向に表示するばあいは下線を引いて良い間違いを避ける。
2.コントロールの設置
微妙に表現が違いますが、要はその特徴物の位置説明にある場所を見たときすぐ見えるように置くわけです。実施基準ではそのための提案がなされています。
コース設定の原則:
.5.1 コントロール設置位置
地図上に示されたテレイン内の特徴物にコントロールが設置される。競技者は、順番が指定されていればその順番通りに、自分自身でルートを選択して、これらを回ってこなければならない。これには、慎重なコース設計と、公平さの保証を確認することが要求される。
地図上で、コントロール付近の地形が正確に、またありうるすべての方向からのアプローチに対して方向と距離が正しく描写されていることが、特に重要だ。
もし地図上で、他にアプローチの助けになるような特徴物がなければ、コントロールを近距離からしか見えないような小さい特徴物に設置してはならない。
コントロールは、どの方向から来ればコントロール・フラッグが見えやすいかということが、地図またはコントロール位置説明からでは判断できないような場所に設置してはならない
競技規則:
16.3コントロールフラッグは、地図上に示された特徴物に、その特徴物に到達した競技者に見えるように吊す。コントロールフラッグが吊された実際の位置は、コントロール位置説明と合致していなければならない。
IOF規則:
フラッグは、コントロール位置説明にしたがって地図で示した特徴物に取り付けられなければならない。競技者が記された場所を視界に捉えたときに、フラッグも見えるようになっていなければならない。
実施基準:
17.コントロールの設置
地図上に表記されていない木や薮などの蔭、または地図情報から読み取れない位置にコントロールを設置してはならない。

IMG_2580.jpg
*6番は5からまっすぐ入ると太い木の真後ろにあるため、沢の中心を見てもフラグが見えないという点ではもう少し木と距離を置いて設置する良かったと思います。

スプリント競技においては、コントロール周辺でスピードが極端に落ちるような位置はコントロールとして適切でない。
コントロールフラッグをパンチ台に吊るす場合、フラッグが低すぎないように注意するとともに、競技中に倒れたり、地面に沈み込んだりしないようにすることが肝要である。少なくともフラッグの下端が地表面から25cm程度となるように設置する。急斜面や軟弱な地盤においては、コントロールフラッグとパンチ台を分離することが望ましい。
パンチ台を使用しない場合、コントロールフラッグとパンチは別々に吊るす。
コントロールに複数のパンチ台を設置する場合でも、フラッグの設置は一つである。コントロールに複数のパンチ台を設置する場合、競技者の進入・脱出方向を考慮して配置する。
酷暑時などは、勝者の想定スピードで25分ごとに給水所を設けることが望ましい。

3.近接コントロール
IOFの方が表現が強い。また競技規則の後半部はコース設定の原則に記載されているものだが、特徴物が同じではなく、地図の上からも現地で見ても明らかに違う特徴物の場合となっている。
event.All.jpg
*メッツアの大会(プランナーは私)の隣接は沢と穴で特徴物は違うが穴が沢にあるため好ましくなかったです。(実際数名がミスパンチをしている)
競技規則:
16.4.コントロールは30m 以内(縮尺1:5,000または1:4,000では15m以内)に近接して設置すべきでない。さらに特徴物が同じコントロールは60m 以内(縮尺1:5,000または1:4,000では30m以内)に近接すべきでない。
IOF規則:
19.4コントロールは30m以内に隣接して設置してはならない(地図の縮尺が1:5000または1:4000の場合は15m)。コントロール間の距離は直線で測る。(付録2, 3.5.5項参照)
*ワールドランキングイベントのガイドラインでは15mでなく25mになっています。

4.コントロール円の中心
ISOM2017
点状特徴物の場合は、記号の中央とする。線や面状特徴物の場合は、フラグの正確な位置を示す。
ISSOM2007
特徴物のうちの正確な位置を示す。
日本の競技規則ではこの点に言及している(IOFにはない)
13.2.三角と円は、それぞれコントロールとなっている地図上の特徴物を、正確に中心位置とする。中心に印をつけてはならない。
実施基準では
14.コース印刷
コースの地図への表記および地図の印刷は、「地図図式」および「コントロールに関する規則」による。
コントロールを示す円は、コントロールとなっている地図上に表記された特徴物を、正確に中心位置としなければならない。ただし、地図上で実寸表記できない特徴物については、円の中心をその特徴物の記号の重心点に置き、コントロール位置説明表において方位、位置などを示す。

IMG_2579.jpg
*11番は崖の南東の根元であるが、私は植生界の角だと思ってフラグがないのでパスしてしまった。もちろん位置説明を見なかった私も悪いので文句を言っているわけではありません。規則に準じて円の中心を崖に置けばこうした誤認は防ぐことができます。

ここに書いたようなことは一般向けの大会・コースでは問題になるようなことはないであろうが、トップレベルで競技をしている選手にとっては大きな問題となります。

それなりに神経をつかうことであるので、規則の適用を上位の大会・クラスに限定するということはこうした観点からも検討すべきだと考えます。

最後にコース設定の原則の2項を参考にあげておきます。
3.5.3 コントロール・フラッグ
コントロールの器具は、IOF競技会規則に準拠しなければならない。
可能な限りにおいて、コントロール・フラッグは、競技者が記されたコントロールの特徴物に達した時に初めて見えるように、設置されるべきである。公平性のためには、コントロール位置に競技者がいるかいないかにかかわらず、コントロールの見つけやすさは同じであるべきである。決してコントロール・フラッグは隠されるべきでない: 競技者がコントロールに達したときに、フラッグを捜し回らなければならないようであるべきではない。
3.11.3 公平なコントロール設置位置を使う
プランナーは、可能な限り最高のレッグを作ろうとして、不適当なコントロール位置を使ってしまうことがしばしばある。
競技者は、良いレッグと素晴らしいレッグの違いにはほとんど気がつかないが、コントロール位置やフラッグが隠されていたり、曖昧さがあったり、紛らわしいコントロール位置説明などのよって、コントロールで予期しなかったタイム・ロスがあると、ただちに気づくだろう。
posted by べん at 12:01| Comment(0) | 知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月04日

競技規則はどうあるべきか

全日本スプリント以降、規則の解釈について、さまざまな場所で、様々な意見が出た。その中で一JOAアドバイザーとして、規則とは何か、どう扱うべきかについて意見を伺ったり、IOFの競技規則の日本語訳のチェックを行い、日本の規則との食い違いなどを調べたりしてきた。その作業が終了し、競技委員会に意見を付託したので、ここで規則の在り方について私見を述べたいと思う。

オリエンテーリングを正しく理解し、実施するということに限ればそれを保証しているのは、競技規則全体でなくその付録である「コース設定の原則」である。その序文には以下の記載がある。
1. 序文
1.1 目的

これらの原則は、オリエンテーリングというスポーツの競技において公平を保証し、その独自の特性を維持するために、にフット・オリエンテーリングのコース・プランニングのための一般標準を確立することを、狙いとしている。

1.2 これらの原則の適用

すべての国際フット・オリエンテーリング競技会のコースは、これらの原則にしたがって設計されなくてはならない。これらの原則は、それ以外のオリエンテーリング競技会のプランニングのための一般ガイドラインとしても役立てられるべきだ。「オリエンテーリング」という用語は、文中では特に「フット・オリエンテーリング」を意味している。

JOAのガイドラインの付表1によると「コース設定の原則」はプランナーとイベントアドバイザだけが読めばいいような扱いであるが、これはオリエンテーリングを正しく理解するためにまず読んでほしいもので、規則ななぜそうなっているかを正しく理解するために必要なものである。
「コース設定の原則」に従い、「地図図式規定」に準じた地図を提供することでオリエンテーリングを正しく伝えることは十分可能である。

さて、では競技規則はなぜ必要かということであれば、これはオリエンテーリングを競技として成り立たせるためのものであって、主な目的は競技の公正性の担保である。そのことにより、オリエンテーリングは一つ競技スポーツとして認められるのである。
実際、IOF規則はすべてのオリエンテーリングイベントに適用されているわけではない。規則に曰く、

2.1.IOF規則 (rules) は、付録も含めて、世界オリエンテーリング選手権、オリエンテーリング・ワールドカップ、ジュニア世界オリエンテーリング選手権、世界マスターズ・オリエンテーリング選手権、地域オリエンテーリング選手権およびIOF世界ランキング競技会のW21・M21エリート・クラスに適用される。項番の前に競技会の省略形がついていない規則は、これらすべての競技会で有効である。1つか複数のある競技会でのみ有効な規則は、項番の横の縁に特定の省略形が印としてつけてある。そのような特定の規則は、それと矛盾する一般規則より優先する。

 もちろん実際の大会運営においては、ここに記載されていることを採用するのが妥当な場合も多く、

2.3.各国における規則は、IOF規則を基本にするよう推奨する。
 となっている。一般の大会では、すべての規則を適用すると、普及面や、運営者や参加者にとっての手軽さ、楽しみを制限してしまうことにもなる(例えば、初級者などはどんなコースかあらかじめわかってからの方が安心して参加できるであろうし、初心者にはレース地図で説明したほうがわかりやすい。安全面を考えれば運営者が助言したほうがいい場面もあるであろう)。競技性を追求するのか、楽しみを全面に押し出すのか、普及を主にするのかなどそれぞれのイベントの性格により、規則を利用するべきであろう。また、公正さを維持するという目的を知っていれば、他の方法をとることも可能である。もちろん、競技性を追求した大会であるなら、規則に準拠するのは必須である。

 今の日本の競技規則の最大の問題はその適用範囲にある。規則に曰く、

2.1 本規則は、国内における競技会に適用されるとともに、競技に関する諸規則の基本となるものである。
2.2 本規則でいう競技会とは、JOA主催大会、JOA加盟都道府県協会もしくは団体(以下正会員という)の主催大会、および正会員に所属するクラブ等の団体、その他JOAが開催を認めた団体が主催する大会をいう。
競技会のうち『公認大会開催に関する規則』にしたがって開催される大会を公認大会という。

この項目があることで、JOAの正会員に所属するクラブが行う大会およびその全クラスに規則が適用されてしまう。競技的なEクラスやAクラスと普及的なB、C、Nクラスでは対応が異なって当たり前である。しかし、生真面目に規則を守ろうとすれば非常識な対応になることもあり得るし、また運営者も大会が運営しづらくなる。大会を運営しているとこうしたジレンマを感じることは多いのではないだろうか?
 規則を必要な大会およびクラスにのみ限定し、規則の呪縛をなくすことで、より寛容で参加しやすい大会を増やすことができるように思う。そういった意味では現実的には競技規則の適用は公認大会のEAクラスのみに限定するのが妥当と思われるがいかがだろうか?
(個人的にはEクラス及びその参加の条件となるクラスで良いと思う。)
い。規則の文言に左右されるのではなく、原則的な考え方にのっとっているか、そのイベントの目的に見合っているかによって柔軟に対応するべきだというのが根本的な考えである。
運営を容易にするために原則から乖離するなら、乖離しないでできる方法を提案するし、原則にのっとっていれば、規則から逸脱も許容する(ただそれが競技性の高い大会であれば事前の周知を確実に行う)ということだ。

「コース設定の原則」でオリエンテーリングを理解し、「競技規則」を適度に利用して競技の公正性を担保し、「実施基準」で競技性の高い大会で規則が遵守されるように大会の実施方法を標準化するととらえるとわかりやすいと思うし、そういうふうになってほしく思う。

 JOAの規則は諸先輩たちの努力により作られたもので、内容も貴重なものであり、そのおかげで私たちがオリエンテーリングを楽しむことができているということは紛れもない事実である。しかし、国際ルールの変化、規則に対する選手の考え方の変化に対応する中で、原則から乖離したり、整合性がなくなっている部分もある。この辺りで、一度全体を見直した方が良いと思うがいかがであろうか?
posted by べん at 17:49| Comment(0) | オピニオン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月06日

全日本スプリント問題について

JOAからリリースされている「2018 年全日本スプリントの運営状況の問題とその背景について」に関して個人的な意見を述べます。

 フライングの件に関しては実際にその場にいたわけではないのでSNS等での発言は避けて来ました。一方で、競技規則の問題点を検討したり、他の競技のルールを参照したり、香港のEAクリニックに参加して、IOFの講師の方に意見をうかがったりして、イベントアドバイザーのメーリングリストでは意見を述べさせていただきましたが、ほとんど顧みられなかったようでとても残念に思っています。組織見解も出ましたのでもう外に向けての意見を言っていいだろうと思います。

 まず、フライングの件に関して述べます。
 この件の運営者の判断は、日本の競技規則にのっとって判断すれば妥当でないとは言えないと思います。一方で競技規則は選手を罰するためにあるのではなく、競技を律して公正さを維持するためにあるのであります。 その観点からすると、この規則違反によって当競技者は特段の利益を受けているわけではなく、他の競技者へ影響をおよぼしているわけではないので、失格は厳しすぎるといえます。
 とはいえ、国際規則でも、日本の規則でも、裁定委員の決定は最終であるという規定がありますので、この件に関してはこれで終了とする以外はないと考えます。
 ただ、そのうえで次の対応を考える必要があります。
 日本の競技規則は、国際規則とくらべると、競技者により厳しいものとなっています。
今回の失格の根拠となりうるのは以下の2項です。
競技規則18.1 競技者は、スタートラインより指定された時刻にスタートする。
競技規則26.1 競技規則に違反した競技者は失格となる。
実はこの2項ともにIOF規則には存在しません。26.1にあたるものはあるのですが、その内容は即失格でなくて、失格となる可能性があるというにとどまっています。
 これについては、競技の公正さや、他の競技者に与える影響、今後の協議の継続(環境面を含めて)などを考えて判断されるべきものだと推察されます。この自由度があるので、セカンドオピニオンとして裁定委員会が機能する余地があるのです。国際大会でも場合によってそんなのOKなの?と思われる裁定が出たりもします。(もちろん当該選手を含む選手側に立ってという裁定になっています。)
裁定委員会の議論も規則に基づいて行われるものですから、この項は競技規則に競技者の失格判定に対する裁定委員会の議論を縛り、無力化しているといえるかもしれません。
 他の競技の規則を見ても、具体的な行為について即失格と述べているものはあっても、競技規則に違反したら即失格なんて規則は見つけられませんでした。

 今回私が提案させていただいたのは
1. 今回の判断に関しては現競技規則にのっとって判断されたものであり、競技はこのまま成立とする。
2. 国内競技規則と国際競技規則に乖離があり、今回の問題につながったと思われるため該当部分を速やかに変更する。
ということでした。
高校野球の選手のイベント出演による処分にしても、一般感覚からすればおかしいですが、高野連のルールから行けば正しくなってしまいます。おかしなルールは速やかに修正するべきです。

 次に、この文書に述べられている方策について述べます。
 印象としてはこれまで言われていたことを並べただけという感じがします。ですからその実施に関して疑問が残ります。具体的誰が何をいつまでにするかということは決まっているのでしょうか?
 そもそも問題は、主催者が規定されたスケジュール通りに進行させないため、チェック機能としてのイベントアドバイザーが働けないことにあります。解決方法としては規定通りに必要な準備をしてもらう以外にありません。良い大会にしたいという思いは同じでしょうから、そこを丁寧に主催者に説明してやってもらう以外にはないでしょう。必要なのは議論でなくて説明や具体的なアクションではないでしょうか?
 齟齬はあっても実は規則はよくできていて、例えば、運営者にディレクタ資格を持っている人が必要であるという規定があるのも、そこをちゃんとやることの重要性を教育されているからであり、イベントアドバイザーと同じレベルで議論できるからです。
 問題は、いつのまにかディレクタがいなくても運営できるようにしてしまったり、そもそもディレクタ教育も十分してこなかったりしたことにあります。(まあディレクタでなくても運営側にもイベントアドバイザー資格を持つ人がいればいいと思いますが)
 組織としてやるべきことは、規定にのっとって運営を進めることの重要さを説明し、信頼できる運営者やイベントアドバイザーを育てることです。
具体的には、以下を提案します。(ディレクタがなくなるようなので)
1. 公認大会の運営者にはイベントアドバイザー資格を持つ人を必須とする。
2. イベントアドバイザー資格講習を1時的に増やす。
3. 講習内容を大きなイベントを問題なく運営できることに集約する。
4. 3年以内に公認大会を運営した場合には、講習参加者の参加費を返却するなどの特典を与える。
議論はいままでもさんざんしてきたと思います。必要なのは具体的なアクションだと思いますがいかがでしょうか。
posted by べん at 13:39| Comment(0) | オピニオン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする